2005年7月10日

6月の猛暑が去った後、ミュンヘンでは気温が急速に低下し、もうすぐ7月中旬というのに、家の中でセーターが必要なくらい、寒くなっております。熱波にびっくりして、せっかく大型扇風機とクーラーを買ったのに、無用の長物となりそうです。ドイツにご旅行を計画されている方は、セーターと傘をお忘れなく。夜は手袋が必要かもしれません。今日も朝からずっと雨がざあざあ降っております。

現在米国の調査報道の名手、セイモア・ハーシュの9月11日事件やイラク戦争に関するルポを集めたChain of Commandを読んでおります。ニューヨーカーでもこの人の記事だけは欠かさず読むようにしていますが、ソンミ村虐殺事件のスクープによるピューリッツアー賞の受賞がフリー記者の時と知って、感銘を受けました。アルグレイブでのイラク人虐待が明るみにでても、米国のラムズフェルト国防長官が辞任しなかったのは、ヨーロッパでは理解不能の出来事と見られております。

最近ニューヨークタイムズの女性記者が情報源を大陪審の前で公表することを拒否したために収監されましたが、今後調査報道はますます難しくなるに違いありません。それにしても、フリーという不安定な立場にありながら、リチャード・パールを批判する記事を書いて、国防政策委員会の委員長を辞任に追い込んだセイモア・ハーシュの取材力と胆力には、敬服します。